2012年10月1日月曜日

2012年秋 Apple発表 所感

 さて、13日(日本時間)のAppleの発表から二週間余りが過ぎ、無事(?)iPhone 5も世に送り出されクールダウンしてきたところで、一連のリリースに関する私の所感を記事として纏めることにする。

 今回の発表内容は、今までと比較して驚きに欠けたものだったように思う。これは私だけの意見ではなく、ウェブ上では散見される意見だ。ただし、私は驚きに欠けていたことを残念だとは思わないし、故ジョブズ氏が存命なら云々等というのはもっての他だ。そもそもスマートフォン全般の新製品の発表が以前ほど新鮮味に溢れたものでは無くなってきているように思え、それはiPhoneも例外ではなかった、というだけの話であるように思う。つまり、スマートフォンというカテゴリの製品や、それに関する技術が徐々に漸くこなれて来たということだ。
 もし仮に、この次の大きな革新が訪れるとしたら、それはウェブによるものだろう(個人的には、それがオープンウェブであってほしいと願っている)。HTML5アプリケーションとネイティブアプリケーションの区別がつかなくなった時、次のパラダイムシフトが起きるだろう。

 話が逸れたので元の話題に戻る。iPhone 5は、控えめに言ってよくできていると思う。革新性・驚きに欠けるという意見が見られるが、順当に進化してきたのは今までも同じ。iPhoneが劇的に変化したのはRetinaディスプレイの採用程度で、それ以上に大きな変化は無かったように思う。むしろ、今回の発表内容が驚きに欠けるのは事前のリーク情報があまりにも多すぎたからではないか、という気がする。
 LTE対応を、3モデルに分けて行ったのは私的には英断だったと思っている。LTEの全世界的周波数対応はまだまだ難しく、仮にやったとしてもバッテリーライフに不安が残る。消費電力と利便性を天秤にかけた上で、3モデルに分割したのは妥当な落とし所だろう。
 しかし、ブラック&スレートモデルの傷が目立つというデザイン上の欠陥や、降るとカタカタと音がしたりディスプレイの問題の話は頂けない。傷については、iPod classicの前面パネルの傷が目立つという話は聞いたことがないので、同様の技術を用いることはできなかったのだろうか、と思う。一方で指でこすると傷が消えるという話もあるので、わざとこのような表面加工にした可能性もあるだろう。結局、実物を何ヶ月か使用してみなければ本当の所は分からない。その他の問題は、初期ロット特有の問題で改善されていく、という展開を望む。

 iPod touchについても、順当に進化したなという印象だ。24800円から、というまで値段が下がったのは、スマートフォンのような高度なプロセッサを搭載したモバイル製品が徐々にカジュアルな製品になり、コモディティ化しつつあることを示しているように思う。ポップカラーで多数のカラーバリエーションを出してきたことも同様だ。
 個人的に頂けないのは、この色がソフトカラーであることだ。新しいiPod touchの色はiPod mini第2-3世代iPod nano第2-4世代iPod shuffleに酷似したソフトカラーを採用している。これは新しいiPod shuffleiPod nanoも同様だ。個人的には第4-6世代iPod nanoのようなビビッドカラーが好きだったので、全てビビッドカラーで統一して欲しかった。ただまぁ、これは個人的な好みの問題だろう。
 iPod touch loopはとても有り難い。ケースや保護シートを使えば落下時の破損の可能性を低減することはできるが、そもそもの落下する可能性を大幅に低減することができるのは大きな進化と言えるだろう(今まで無かったのがおかしいとも言えるが)。惜しむらくは、このiPod touch loopが全てのiPodとiPhoneで採用されるまでには至らなかったことだ。せめて、全てのiPodとは言わないまでもiPhoneには採用して欲しかったところだ。

 iPod nanoは、Lumia 800にデザインが似すぎているように思う。ただ、元記事にも書かれているように、Lumia 800のデザインが第6世代iPod nanoに似ているとも言えるので、敢えて深く追求する必要は無いだろう。むしろ、ディスプレイ消灯時に黒色のフロントパネルに沈み込み、フルフラットデザインを強調してくれるLumiaのデザインの方が私には格好よく思える。iPod nanoが白色のフロントパネルを採用したのはLumiaと酷似しすぎてしまうのを回避するためか、それともよりライトなユーザ層を意識した結果か、はたまたその両方だろうか?
 縦長のボディへの回帰は私が待ち望んだ物と寸分違わないもので、第6世代iPod nanoが出た時の失望を大きく払拭してくれるものだった。iPod touchを小型化し、ソフトウェア面の拡張性を取り払った、iPod touch miniとでも言うべきこのデザインはポータブルメディアプレイヤーとして非常に優秀だと思う。

 Lightningコネクタは、動的割り当てによるリバーシブル設計や小型化等のコネクタそのものの優れている点については納得できるが、何故Micro USBにしなかったのか、と思う。Appleとしては電圧を自社管理すること等の目的もあるのだろうが、広く普及しているMicro USBケーブルが使えないデメリットの方が私としては大きい。

 iOSに関しては…まぁ頑張ってほしい所だ。OSの設計そのものが陳腐化しつつあるという意見もあり、私も同じように思う。iOSの一貫したUIは非常に優れていると感じるので、Mac OS 9からOS Xへのような進化に期待したい。

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